~本当に開国したのは誰か?~


by toudaikaikoku

本音を言い合い理解しあえる仲間

2006年度ティーチングアシスタント 心拠 想

■仕事を通してより多くの人に喜んでもらいたい

心拠さんは、国家公務員として働いて今年で十八年になる。幼い頃、近所で開業していた、「真心は最新技術を超える」ということを、身をもって実感させてくれた医師に憧れて医師を志すが、当時の医学部に閉塞感を感じ、卒業後の進路として国家公務員を選択した。

医師と国家公務員では随分畑違いなのではないかとの質問に、

「どちらの職種でも、自分が情熱を持って取り組んだ仕事の結果に対して、人が喜んでくれるのがうれしいんです。一対一で患者さんと接する医師より、法律を整備したりすることで、より多くの人に想いが伝わり喜んでもらえるという意味で、今の仕事はやりたいことが叶っていますね。」

心拠さんは言う。

アントレプレナーシップ論との出会いは四年前。特許関係の勉強会で、講座主催者に出会い、意気投合。講師に引っ張られた。

しかし最初から、講座にすんなり入り込めたのではない。初年度、二年目は、TAとしてそれほど深くチームに関与出来なかった。

■本音を言ってくれた

TA三年目で迎えた昨年。チーム1TA全員意気投合、意気込んでいた。チーム1のメンバーもやる気ある良いメンバー。しかし、そのチームマネジメントにてこずった。課題に対してチームで議論しようにも、うんともすんとも発言がない。やっと発言が出てきても、役割分担が出来ない。辛うじて課題そのものは提出できていたものの、受講生一人に負荷が重くなるなど、うまくいかない感は、TAだけでなくチームメンバーも感じていた。

講義も半ばに差し掛かった頃、ベンチャー企業に学生が出向き、社長にプレゼンをする機会があった。他チームは、それぞれに個性的なアイディアを出してくる中、チーム1は、メンバーの一人に負荷をかけた上、誰の目にも凡庸なプレゼンに終わった。

プレゼン終了後、うなだれて帰ったTAにショッキングな出来事が待っていた。講師が行った受講生へのアンケートの中に、チーム1の学生の一人から、チーム1のTAに対して

「聞いていたはずの議論を巻き戻さないで欲しい。簡潔なコメントが、いつの間にか精神論に摩り替わっている。批判をする時は感情的にならないで欲しい。無理に自分のチームを褒めなくてもいい。それより、どんなところが足りないか、具体的な批判をいただけたほうが嬉しい。」

という指摘がなされたのだ。

自分達がチームになんとかうまくいって欲しいと願ってとった行動が、却ってチームの状態を悪くしていた。

「勿論ショックではありました。でも、私にとっては、ネガティブな指摘であっても本音を言ってくれた。それが嬉しかったです。本音で接しくれなければ、どうすればよいか改善策すら見えないでしょ。だけど、本音を言ってくれたから、こちらだって、本気でなんとかしようって思えたんです。本音で接してくれた受講生を愛しいと思いました。」

■理解しあえる仲間がいる

そうは言っても、チーム1のTA四人はショックを受けた。四人でなんとかチーム1を立て直そうと真剣に話し合った。話し合った結果でてきたことを実際に試してみた。結果について、四人で話し合った。相談のメールを打つと、すぐに返事が帰ってきた。自分の悩みを聞いて理解してくれた。一人で問題を抱え込んでいたなら、もっと孤独だっただろう。理解してくれる仲間と、問題解決にあたる幸せ。苦しかったけど、やりがいを感じた。「結果や過程にかかわらず、理解してくれる人がたった一人いるだけで、辛い状況の中にあっても人というものはあんがいがんばれるのですね。」心拠さんは言う。

■少しずつ仲間を増やして行く 

心拠さんは講座が終わった現在、思うことがある。講座で得た気づきを、なかなか実際の職場で生かしきれていないと思うのだ。

「心を開いて人と接しようにも、こればかりは相手あってのもの。相手がいなければ、自分一人で心を開いても空回りになります。本音で接し、本気で理解しあえる仲間を、一人一人職場で増やしていくしかないですね。」

心拠さんの地道な取り組みは続く。

[聞き手 佐藤裕一 寺畑享子 浜松翔平 金子きよ子]
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by toudaikaikoku | 2007-01-30 20:20